「アレ…ねえルヴァ、何かアンタに届け物だってさ?」 「え? 私に、ですかー?」 「うん、何か…やたらと大きいけど」 「はて…? ここ最近は本も注文しておりませんし、一体何でしょうか。オリヴィエ、差出人の名前はどなたですかねー?」 「ん…ちょっと待って? えーっと………あ?」 「? どうしました?」 「…書いてないよ、コレ」 「??」 「心当たり、ないの? …例えば昔の恋人の部屋に置いてあった、アンタの私物とかさ?」 「え…えええっ?! な、何て事を言うんですか、オリヴィエ?!」 「…動揺してるねえ」 「オ、オリヴィエ!!」 「…ま、昔の事を持ち出すほど私も心が狭い訳じゃないから、安心しなって?」 「そ、そうじゃなくてですね…!!」 「…どうでもいいから開けてみたら?」 「…オリヴィエ、顔が…」 怖いですよ、とは最後までいえなかったルヴァ。 それほどまでにオリヴィエの顔は迫力があったのだ。 「何よ、私の顔に何か文句でもあるの?!」 「…いいえ」 「ホラ、見てみないとわからないじゃないの。…ああ、私が居たら見辛い、か」 「あのですねー!!」 「じゃ、私は帰るよ」 「ちょ、ちょっと待って下さい!!」 「…何よ?」 「これは、あなたが開けて下さい」 「…へ?」 「私も心当たりがありませんし、少々あなたにも疑われているようなので…ココは一つ、立ち会っていただきます」 きっぱりと、言い切ったルヴァの表情には一切、後ろめたさは見て取れなかった。 オリヴィエとて、本気で恋人を疑っている訳じゃない事位、本人もルヴァもわかっている。 だが、この贈り物(?)に心当たりがないというのもまた事実。 お互いに禍根を残したくない。 そう思ったルヴァは、こう提案したのだ。 「…ま、いいけど?」 「しかし、一体何でしょうかねー? 大きさ的には一枚の絵のようにも見えますねー」 「あ、そうだね。丁度そんな厚みだし、そんなに重くもないし…よっと!!」 オリヴィエは包みを抱えると、ルヴァの机の上に運んだ。 チラ、とルヴァを無言で見遣ると、ルヴァもゆっくりと頷いて見せる。 「…じゃあ、開けるよ?」 「…はい、お願いします」 何時になく緊張した面持ちで包みを開けてゆくオリヴィエを、ルヴァも内心ハラハラしながら見つめていた。 一体何が出てくるのであろうか。 油絵の具の臭いが鼻をつき、オリヴィエがやっぱり、と小さく呟いた。 「オリヴィエ、それは…?」 「うん、やっぱり絵画みたいだね。額があるし、何て言ってもこの絵の具の…」 と言い掛けた時、総ての包みが取り払われた。 「あ…ああーっ?!」 「わ…わわっ?! エ、エロ…!! コレ、ルヴァ…だよねえ…?!」「ちょっと…どういう事?!」 「な、何がですか?!」 「何なの、この絵!! ルヴァったらいつこんな絵のモデル、やったのさ?!」 「い、いいえ!! 私は何も…!!」 「ん〜?! …コレ、セイランのタッチでもないみたいだねえ。まさかリュミちゃんな訳無いだろうし、 誰がこんなの描いたんだろ?」 「さ、さあ…?」 「『さあ?』じゃないでしょ!!」 「で、でもですねー、私は本当に知らないんですよ!!」 「…へえ? バストアップとは言え、ヌードだし…それより何より、この駄々漏れの色気と言うか… フェロモン全開なのはどういう事なのか、キッチリ説明してもらおうじゃないの、ルヴァ?!」 「だ、だから、誤解なんですよー!!」 と、揉めに揉めている真っ最中に、扉をノックする音が響いた。 「ん…? 誰か、来たみたいだよ、ルヴァ」 「はー…やれやれ。はいどうぞー、開いていますから」 ルヴァは助かった、とばかりに溜め息を吐いた。 そこへひょっこりと顔を出したのは、聖獣の宇宙の緑の守護聖。 「お邪魔しますよ、ルヴァ様?」 「アラ? セイラン…珍しいねえ、アンタがココに来るなんて?」 「ああ、オリヴィエ様もご一緒でしたか。ま、その方が話が早く済んで丁度良かったんだけど」 「…はあ? 何の話よ、セイラン?」 「ああ、絵、届いたみたいですね?」 「「え?!」」 「僕とした事が、うっかり差出人と作者の名前を書くの忘れたんで、こうして来たんですけど…」 「ちょ、ちょっと、セイラン?!」 「何です?」 「これは…この絵は、あなたが描いた物なんですかー?!」 「いいえ、違いますよ。何で僕がわざわざむさい男をモデルに選んで描かなくちゃいけないんですか?」 「う…酷いですねー…」 「何さ、アンタの恋人だって、十分むさいでしょ!!」 「なっ…?! む、むさくなんかないですよ!!」 「ああ、むさいんじゃなくて、色々と『サムイ』んだっけ?」 「…オリヴィエ、中々的を射ていますねー」 「あのですねえ!!」 「あーっ!! やっぱり居た!! セイランさんの声がすると思って、来てみたらこんな所に…。 何で俺のトコに寄ってくれないんですか?!」 彼の存在をどこから嗅ぎつけてきたのであろうか。 勢い良く開かれた扉から、セイランの恋人、ランディが乱入してきたのだ。 「うわっ…?! ラ、ランディ?!」 「ホラ、噂をすれば、何とやら…」 突然後ろから羽交い絞めにされたセイランは、慌ててそれを振りほどこうとするのだが、 必死の抵抗も空しく更にギュッと抱きしめられる結果に終わってしまった。 「ちょ…っ、離してくれないかい?!」 「ヤです」 「別にいいじゃないの、そのままでも?」 「ええ、私達は別に構いませんよー?」 「ですよね!!」 「君が言うな!!」 いつもの事だとオリヴィエもルヴァも、このバカップルの遣り取りには一切目もくれず、話を続ける。 「で? どういう事なの? 誰が描いたのさ、このエロいルヴァの絵は?」 「…ああ、それは『羽純』と言う、まだ駆け出しの画家です」 「「?」」 「セイランさん、何の話ですか?」 「ああ…ほら、この前の彼女の絵だよ」 「この前の…彼女のって…ああ!! 羽純ちゃんの描いたあの、ルヴァ様のエロいヤツですか?!」 「ランディまで…エ、エロいとは…」 「だから間違ってないから、ルヴァ」 「あれ、すごいですよねえ?! 想像だけで描いたにしては、まるで実際にモデルにしたみたいですもんね!!」 「…は?」 「ちょっと…ランディ、今何て…?!」 「え? だ、だから…」 「つまりこれは、彼女が想像のみで描いたものですよ。セレスティアでスケッチしていた彼女を見つけ、僕が声を掛けたんです」 「セイランが?! へえ…珍しい事もあるもんだねえ…?」 「彼女が描いていたのは、風景やそこに居た人物だったんですが…心惹かれるものがあったんで、ね」 「俺も一緒に居たんですよ!! で、彼女は休日毎にそこでスケッチしてるって言ってたんで、 俺達も自然と会う回数が増えて、仲良くなったんですよ」 「はー…、そうなんですかー?」 「ん? でもさ、だからって何でこんな絵を?」 「ええ、彼女と親しくなっていく内に、色々な話をするようになってですね…」 「あ、あの…俺。実はつい、ルヴァ様とオリヴィエ様の話を…」 「はあ?! ラ、ランディ…、私達の話ってもしかして…?!」 「はい…恋人だって、思わず…」 「ま、そもそもお2人がそうなんじゃないかと言い出したのは、実は彼女の方だったんですけど…ね」 「ええ?!」 「つ、つい、俺も口が滑っちゃって…。すみません!!」 「はー…。外界の人達にはバレない様に気を遣ってきたつもりですが、それでもダメだったんですかねー?」 「いえ、そうじゃないんです。彼女はなんと言うか…、そういった事にかなり敏感なんだとか。 まあ…あれだけ色んな人物を観察しているんだから、当然といえばそうなんでしょうね」 「し、しかしですねー?」 「それに偏見も持ってないみたいですよ、同性同士の恋愛にも、ね?」 「へ、へえ? そうなんだ?」 「ええ。僕らの話を嬉々として聞いてましたしね」 「ああ、そういや羽純ちゃん、すごい嬉しそうだったなあ…」 「で、興が乗ってしまって、描いてしまったと見せてくれたのが、この絵なんですよ」 「そ、そうだったんですかー…」 「にしても…エロい部分が良く出てるねよえ?」 「そうでしょう? だから僕も、本人に見せるべきだって言ったんです」 「それで…送る前に名前を書き忘れたんですねー?」 「ええ、そうです。あ、その絵はルヴァ様に差し上げるそうですよ。大事になさって下さいね?」 「だ、大事にって…ルヴァ、コレ…どこに飾るの??」 「さ、さあ…。どうしましょうかねー??」 「ああ、何ならオリヴィエ様に贈ったらどうですか?」 「や…イヤよ!! こんなエロルヴァ、まるで家に居る時も視姦されてるみたいで落ち着かないじゃないの!!」 「オ、オリヴィエ…酷いですよー!!」 「確かに、このルヴァ様…エロいもんなあ…」 「…まあ、そこは僕も否定は出来ませんが…」 「二人とも…酷いですねー…」 「あっ、すみません…俺」 「じゃ、そういう事ですから。僕はこれで失礼しますね」 「あー、お気をつけて…」 「あ、ああ。またね、セイラン☆」 「ちょっと、セイランさん?! 俺を置いてかないで下さいよ!!」 「…君、執務はちゃんとやってるのかい?」 「あ、当たり前じゃないですか!! セイランさんとの時間を作る為に、俺毎日頑張ってるんですから!!」 「ああ、ハイハイ。わかったから…」 「もうっ、またそうやって俺を子供扱いして…!!」 ぎゃあぎゃあと揉めながら、セイランとランディが地の守護聖の執務室を後にした。 「…何だったの、あの二人?」 「さ、さあ?」 呆気に取られたルヴァとオリヴィエの傍らには、問題のルヴァの肖像画。 「…どうしましょうか、この絵…」 「いいじゃないの、大事にしなよ?」 「…え? で、でも…」 「さっきは驚いて言えなかったんだけどさ、実際この絵…ホントに良く描けてるんだよねえ…」 「え??」 「何よ、その呆けた顔は?」 「ですが…」 「アンタは自分の顔だからわからないかもしれないけどさ?」 「は、はい?」 「私に襲い掛かる時のルヴァは、いつもこんなもんだよ?」 「お…襲うとは…人聞きが悪いですねー…」 「間違ってないでしょ?」 「まあ…確かにそうかもしれませんが…」 「いつもは天然ボケしてるルヴァの、正に色気が一気に放出される瞬間って感じだからねえ…」 「…素直に受け止められないのは、気のせいですかねー?」 「…気のせいでしょ?」 「うーん…」 「いいじゃないの、そんな事。第一、それを私はイヤとも何とも言ってないでしょ?」 「え?」 「ただ…こんな絵を見せられたら、私だけが知ってるルヴァを、他の誰かに見せたのかと思うじゃないの…」 「オリヴィエ…」 「浮気は絶対許さないけど、もし本気だったら…って…」 「そ、そんな…?!」 「浮気相手が宣戦布告に送りつけてきたのかも知れないでしょ?」 「あ…」 「…ああ、もう…!!こんな事、思いたくも言いたくも無いのに…!!」 「…オリヴィエ、ありがとうございます」 「…へ? な、何?! どうしちゃったの?!」 「嬉しいんです、私は…。正に今、猛烈に感動しているんですよー!!」 「ちょっ…?!」 「…いいですよね、オリヴィエ?」 「…イイって…何が?」 「勿論…愛を確認しあう為、ですよー?」 「ちょっと…!! 今、まだ執っ…んむっ…?!」 いきなり唇を塞がれたオリヴィエ。 ルヴァの与える甘く痺れるような、このキスに弱い。 口でどんなに拒んでみても、このキスでわかってしまうだろう。 結局、抗えない自分が居る事を、この恋人は最初から見越しているのだから。 だが。 「ん…、んん〜!! …ぷはっ!!」 「どうしたんですか、オリヴィエ?」 「あ…あのねえ!!」 「はい?」 「…今はダメに決まってるでしょう?!」 「どうしてですか?」 「………」 本気で尋ねるルヴァに頭痛を覚えるオリヴィエ。 無言で扉の方を顎でしゃくってみせる。 「は…?」 「しっ…!! 黙って、開けてごらん?」 オリヴィエが小声でルヴァに促す。 「???」 首を傾げながら、ルヴァが足音を潜めて扉まで近付き、一気に手前に開いた…。 「わわっ…?!」 「っ…!!」 「えええっ?!」 「…やっぱり、ねえ…」 開かれた扉からもんどりうって転がり込んできた人物の姿を見て、深い深い溜め息を吐くオリヴィエ。 先程帰ったはずのランディとセイランが、扉越しに聞き耳を立てていたのだろう。 結果、支えを失った彼らは、勢いよく開かれた扉から室内へとなだれ込んでしまったのだ。 「ど、どういうことですか、これは?!」 「…聞き耳立てて、今度は『羽純ちゃん』に話そうと思ったんでしょ、大方」 「すごいなあ、オリヴィエ様!! 当たりですよ!!」 「…ランディ、君…黙っててくれないかい?」 「で?」 「は?」 「どっちが言い出したの、コレ?」 「…セ、セイランさんです…」 「………」 あまりのオリヴィエの迫力に怯んだランディが、ぽろっと零してしまった。 「セ、セイランが…ですかー?!」 「ふ〜…ん? そうなんだ、セイラン?」 「…さあ、どうでしたかね?」 動じる事も無く、そ知らぬ顔でそう答えるセイランに、オリヴィエの右眉が器用に上がる。 腕を組んで少しの間、何かを考える風な表情をしたかと思うと、オリヴィエはランディに視線を移した。 「…ランディ?」 「は、はい!! オリヴィエ様、何ですか…?」 「アンタ、今日はもういいよ?」 「…ハイ?」 「今日の執務はもう終わりにしてイイって言ってんの」 「…へ?」 「…どういうことです?」 呆気に取られているランディとセイランをよそに、オリヴィエはルヴァに目配せをした。 「ルヴァ…?」 「!! あー、なるほど…。そう言うことでしたか。では…」 ルヴァはニコニコと嬉しそうに何度か頷くと、机の上にあった端末を弄り始めた。 「………はい、これで許可を取れましたよ、オリヴィエ?」 「そ、アリガト。 …ランディ?」 「は、はい!!」 「これからの時間はフリーだから、アンタの好きなようにしなさい。…ああ、勿論セイランも同じだからね?」 「へ…?!」 「な…っ?! どういう意味ですか、オリヴィエ様?!」 「そのまんまの意味だけど? ま、頑張って頂戴☆」 「あ、ありがとうございます、オリヴィエ様!!」 「ハイ、思う存分励んで来なさい☆」 「はいっ!!」 「ちょっ…?! ラ、ランディっ…!!!!」 嬉々としてセイランを担ぎ上げると、ランディは自らの守護聖の名そのままに、風の如く走り去ってしまった。 「…全く、あの男は…油断ならないよ」 「意外でしたねー。私はランディが、と思ったのですが…」 「あのコがそんな事提案する訳ないじゃないの。企む頭は無いよ、単純なランディには」 「はー…。そうですか…」 「セイラン位ひねてなくちゃ、そんな考えは起こさないよ」 「…ひ、酷いですねー?」 「……へえ? じゃあルヴァは、あのまま見られてても良かったんだ?」 「え…? ま、まあ…知らなかった訳ですし…」 「私のエッチの時の声や姿を他人に見られても、平気なんだ…」 責める様な口調のオリヴィエに、ルヴァも慌てて弁解を始める。 「そ、そういうわけではありませんよ!! …確かにあなたのその姿を独り占めしたいのは当然ですし…」 「…何よ、歯切れの悪いその物言いは?」 「ですが…見せびらかしたい、と言う気持ちがあるのも否定は出来ませんねー…」 「…はあ?!」 「こんなにオリヴィエを乱れさせる事が出来るのは、私しかいませんからねー? 自慢と虫除けも兼ねて…と思うことはありますよ、正直な所」 「!!」 「本当にあの時のあなたは、可愛くて色っぽくて…私を離さんとするあの…」 「ちょっと!!!! 何を言い出すの、アンタは!!」 「ほら、こうして…」 「え…? あっ…?!」 「私の手があなたの素肌に触れるだけで、こうして…反応してしまうでしょう?」 「ちょっ…んっ…」 大きく開いたオリヴィエの執務服の胸元からいとも簡単にするり、と滑り込んできたルヴァの掌が、 勝手知ったると言った風にオリヴィエの胸の突起を的確に掠めた。 その刺激に驚いたオリヴィエが身を捩ろうとしてもそれを許さないとばかりに、すかさずその突起を軽く摘まれた。 こういう時だけは、何時ものルヴァの片鱗も見られないとオリヴィエは思う。 良く言えばおっとり、悪く言えば鈍いとも取れる、普段のルヴァには見られない姿だ。 恋人を喜ばせる術を追求する為ならば、何の努力も見返りも求めないだろう。 僅かな反応にも目を零さず、少しでもオリヴィエの吐息が乱れ漏れようものなら、執拗にそこを攻めたりもする。 丹念で狂いそうな位自分を歓喜させるルヴァの愛撫は、オリヴィエにとって麻薬の一種とも言えよう。 絶倫だのエロいだの、何だかんだ文句を言ってはいても、愛されている自分は幸せなのだと思い知る瞬間でもある。 「あっ…、ちょっ、ヤっ…」 「さっきは思わぬ横槍が入りましたけど、今度はやめませんよー? 私も…そろそろ限界ですからねー…」 「わ…っ?! いつもよりすご…い、かも…」 オリヴィエの足の間を割って、ルヴァが自らの股間を押し付けた。 そこには思わず腰が引けてしまうほどの、熱く熱を持ち猛ったルヴァの物がくっきりと当たるのを感じた。 自分を求めて止まない、恋人の熱に当てられたオリヴィエは、思わず身動ぎをする。 ふっとルヴァが柔らかく微笑むのが、オリヴィエの耳元に当たる吐息でわかる。 きっとその笑顔は、あの絵のルヴァと寸分の違い(たがい)もないだろう、とオリヴィエはぼんやりと思考を巡らせる。 声が嗄れるまで、意識を飛ばすまでに求められ、果てには正気を保つことさえ許さないルヴァとの行為は、 それは甘露に誘い(いざない)最早自ら手放せなくなってしまっている。 一度や二度の吐精では治まらない程、狂おしく猛り煽る欲情はオリヴィエを虜にさせて止まない。 …惚れたもん勝ちと言うのか、惚れた弱みと言うのか。 愛し愛される喜びを教えてくれたのは、間違いなくこの恋人でもあるのだから。 しょうがないよねえ…。 オリヴィエが何かを考えているのを気付いたのか、そこから現実に引き戻すべくルヴァは、確認するかのように彼の股間を弄る。 「オリヴィエ…あなただって、もうこんなにして…」 「ん…っ、だって…」 「私が、欲しいですか?」 「…けど…」 「? 何ですか?」 「…!! そうだけど、ココじゃイヤだってば!!」 「では、奥の部屋ならいいですか?」 「…ん」 「そうですか…。では、行きましょうか?」 「うん…」 ルヴァに手を引かれ、素直についていくオリヴィエ。 奥の私室に続く扉のノブを掴んだルヴァに、徐にオリヴィエが口を開いた。 「…ねえ、ルヴァ?」 「はい?」 「やっぱりあの絵はさ、私が貰ってもイイかな…?」 「ええ、それはいいんですが…。どうかしたんですか、オリヴィエ?」 「ん…。アレは封印するの」 「封印、ですか?」 「そうだよ。あんなルヴァ、他の誰かに見られたら大変でしょ?」 「た、大変…?」 「…誰彼構わず誘ってるルヴァなんか、見せられると思うの?」 「誰彼構わず…って?! あんまりですよ、オリヴィエ…」 「だから!! 私だけの物でしょ!!」 「オリヴィエ…」 「な、何よ…」 「そんな可愛い事を言ってくれるなんて…!!」 「ちょ、ちょっと?! まだ部屋に入ってないんだから、まだ盛るのは待ってよね!!」 「ええ、わかっていますよー? でも、入ってしまったら…加減できるかどうか、わかりませんけどねー…」 「…そんなの、いつものコトじゃないの」 「あー…そうですねー」 お互い視線を合わせ、ふっと微笑んだ。 オリヴィエはルヴァに軽く口付けると、彼の耳元に甘く囁いた。 「愛してるよ、ルヴァ」 「ええ…私もです、オリヴィエ。あなたを誰よりも、愛していますよ…」 終わり!! 終われ!! 〜色気の皆無なオマケ(苦笑)〜 奥の私室へ入ると、ルヴァがしっかりと施錠するのを黙って眺めていたのも束の間。 オリヴィエは、そこに無いはずの物を見つけ、唖然としていた。 では…と、振り向いたルヴァが目にしたのは、それはそれは恐ろしい形相で自分を見下ろしている恋人の姿。 「ど…どうしました、オリヴィエ?!」 「ルヴァ…?」 「は、はい?」 「あれだけ言ったのに、ま〜たアンタはこんなもの…どこから手に入れてくるの?!」 「あ…っ!!」 ベッドのヘッドボードにうっかり置き忘れていたのは、失敗だった。 かつてオリヴィエに黙って使用した、媚薬の残りが入った小瓶を手に、わなわなと怒りに打ち震えている。 猛烈に怒ったオリヴィエの目の前で捨てさせられたのだが、実際にはあれは中身をすり替えたものだったのだ。 「…今日はこれは使いませんよ? それに必要ないくらい、あなたもその気なんですから…」 「!!」 一気にベッドへと押し倒され、組み敷かれてしまったオリヴィエ。 その瞬間、オリヴィエの掌からコロ…と床に小瓶が転がり落ちた。 再び甘い口付けを受けながら、『今日は』と滑らせたルヴァのセリフを、どう問い詰めてやろうかと思っているオリヴィエと。 余計な事を勘繰られないうちに、メロメロに攻めてしまおうと策略しているルヴァであった…。 **** 「ごめんね、羽純ちゃん」 「え? 何の事でしょうか、ランディ様?」 「この前の…失敗しちゃったんだ」 「…おかげで僕も酷い目に遭ったよ」 「酷く…って、そりゃないでしょう?! あの後セイランさんだって…」 「ラ、ランディ!! 今はそんな事関係ないだろう!!」 「ど、どうかなさいましたか?」 「いや…」 「う、うん、何でもないんだよ!!」 「そうですか…? 残念ですね、だけど」 「でも喜んで下さったみたいだよ? 君の想像力と表現力には皆感心していたからね」 「あら、感激です!! セイラン様が褒めて下さるなんて…!!」 「…俺にはそんな優しい顔しないくせに、ずるいなあ…」 「…うるさい」 「あ、それとも…」 「「?」」 「あの絵に盗聴器でも仕掛けた方が確実だったのかしら?」 「はっ…?!」 「ああ、そうかもね? でも僕らはオリヴィエ様にあっさり見付かったから、それも確実とは言えないんじゃないのかい?」 「う〜ん…むつかしいなあ」 「ちょっ…?! 羽純ちゃんもセイランさんも何を言ってるんですか!!」 「ランディ様はどう思いますか? 何か良いお考え、ないでしょうか?」 「羽純ちゃん…そんな笑顔で言わないでよ…」 「あ、でも!!」 「「?」」 「私、ルヴァ様とオリヴィエ様だけに拘ってませんから!!」 「は?」 「君…何の話をしているんだい?」 「だから、お2人のでも全然構わないんです!!」 「ええええ…っ?!」 「え…、遠慮しておくよ、僕は」 「ダメですか、ランディ様…?」 「だ、ダメだよ!! セイランさんは俺のだから!!」 「なっ…、何を言ってるんだ、君は!!」 「セイランさんこそ何言ってるんですか!! 本当にいつになったら俺のモノだって自覚してくれるんですか?!」 「い、いつ僕が君のものだって…?!」 「…じゃあ、思い出させてあげますよ? 今すぐにでも、ね…?」 「ちょっ…!! ランディ?!」 「何ですか?」 「う、後ろっ…!!」 「後ろ…? …あっ!!」 「あ!! 私の事はお気になさらず、どうぞ続きを!!」 「そんな事言われても…」 「君が所構わず盛るのがいけないんだ!! 少しは反省して貰いたいんだけどね!!」 「だ、だって…!!」 「あのお〜…続き、しないんですか?」 「しないに決まってるだろう!!」 「ん〜…。俺は別に良いかな、って思うんだけど…」 「…ランディ? さっき君が言った事と矛盾しているんじゃないのか?」 「…冗談です、セイランさん」 「全く…」 「「ちぇっ…、ダメかあ…」」 「あのねえ!!」 あとがき: う… うえ〜〜〜〜!!!!! なんじゃい、コラ?! ご、ごめんなさいm(_ _)m すみませんm(_ _)m 反省しておりますm(_ _)m 羽純さまに素敵なイラストを頂いたのに、オリヴィエやランディやセイランに『エロい』と連発させてしまい、 本当に申し訳ありませんm(_ _)m や、しかしですねえ…。 やっぱりこのルヴァはエロいと豆田は思います(笑)。←しつこい 色気が尋常じゃないですよね、イヤホントに。 自分で話を書きながら、コレじゃオリヴィエが誤解するのも無理ないなあ、としみじみ思いましたし。 額の中の表情が恋人だけに見せるエロい顔、ってのがかなり萌えました♪ でも、結果はこんなアホな話…(涙)。 あまりエロいルヴァになりきれなかったのも、思いもよらずランセイが出張って来たのも、予想外でした(涙)。 …一体どこで狂ったのかなあ…??(遠い目) 羽純さまとルヴァオリの直接の絡みが無かったのは、次にきっとこの絵が守護聖たちの中で噂になって、 依頼が来る…というのに繋げたかったんですよ…。 でも力不足でそこまで書けませんでした(涙)。 ま、盗聴器を仕掛けるかどうかはまだ未定ですが(笑)。 羽純さまを腹黒変態さんみたいにしてしまって、本当に申し訳ないですm(_ _)m 変態は豆田です、ハイ(汗)。 ちょっと豆田の妄想が酷すぎましたねえ…(汗)。 以前羽純さまのサイトで企画されていた、お年賀イラストで豆田がリクエストしたランセイも登場させてみました(笑)。 ルヴァがメールをしていた相手は、勿論コレットです♪ 余計な事をした為に、恋人でエロ魔人・ランディの餌食になってしまう可哀相な人でした(笑) 勿論ランディはこの上なく幸せでしょうけどねえ(笑)。 この萌えイラストお礼と、羽純さまのサイトが20000ヒットを超えたのをお祝いする為に書いたのに、 こんなメタメタな話になってしまって、本当にすみませんでしたm(_ _)m そして最後に、いつも素敵なイラストをありがとうございます!! ダメダメな豆田に元気も萌えも分けて頂いております☆ 羽純さま、ありがとうございましたm(_ _)m あんじのあんじぇに帰る!! ☆BACK☆/☆小説部屋トップへ☆/☆トップページへ☆