「ん…っ…?」 ふと首筋に冷たい空気を感じ、ふるりと小さく身を震わせる。 傍らに居る筈の恋人のぬくもりを探し、リュミエールは広いベッドの中から上半身を起こした。 室内に差し込んでくる月明かりだけを頼りに、未だ覚醒しきらない瞳を凝らす。 暗闇の中、自分の求めるそれが見当たらない事に、不安と焦燥を感じたリュミエール。 寝起き独特の少し掠れた声音で、恋人の名を呼んだ。 「…オスカー?」 「ん? ああ、起こしちまったか?」 それは思ったより早く、そして少し離れた場所から聴こえて来た。 リュミエールは声の方へ振り向く。 そこには…。 「オスカー…そんな格好で…風邪を引いたらどうするんですか?」 「俺はそんなにヤワじゃないぜ?」 「………」 ベランダに面した窓を開け放し、オスカーは月を見ていた。 情事の後何故か眠れずに、今夜は満月だった事を知らしめる月の明かりに誘われ、ずっとそれを眺めていたのだった。 ガウンを羽織っただけのオスカーの格好に、リュミエールは僅かに眉を顰める。 前は合わせる事無く肌蹴たまま、カウチの肘掛に寄り掛かる形で視線を月から離さない。 そんな彼に焦れたリュミエールが完全に身体を起こすと、掛かっていたシーツの上からするりとガウンが滑り落ちた。 「…まだ夜は肌寒いんですから、早く窓を閉めて下さい」 「何だよ? お前にはちゃんとガウンを掛けてやってあっただろう?」 「わたくしの…傍に居るのが嫌なのですか…?」 「は…? 何でそうなるんだ…」 オスカーが呆れたように溜め息を一つ吐いた。 視線をリュミエールに戻すと、そこには先程自分を狂わせてしまうのではないかと思う程、 熱くそして執拗に攻め立てた恋人の面影は微塵も感じられなかった。 ベッドのシーツの波に俯き座り込む水の守護聖の姿は、月明かりに照らされて普段の彼を更に儚げに演出しているかのようにも 思える。 リュミエールとしては自分の傍にオスカーが居なかった事が、思ったよりも彼にとってショックだったのだ。 情事の後は必ず彼を抱き締めて眠る習慣がついており、オスカーも最初の内は抵抗してはいたが、 それも最近ではこれが当たり前のように感じていてくれているとリュミエールは感じていた。 目覚めた際にオスカーが最初に微笑む相手でありたい。 オスカーに素直にそう言えば、笑って納得してくれるだろう。 しかしリュミエールは言えなかった。 求めるのはいつも自分の方で。 恋人からの愛の言葉を求めて止まないのに、いくら待てども叶わない現実。 痺れを切らせ催促する自分の気持ちを、ちっとも理解していない鈍すぎる恋人の態度を、これ以上無い位に持て余しているのに。 自分の事をどこまで恋人として想ってくれているのか。 リュミエールは彼の態度でそれを量りたかったのだ。 *** 月明かりを背に影になったオスカーの表情は、リュミエールの側からは全くと言っていい程わからない。 なし崩しにもつれ込んだような自分達の関係。 女性相手なら吐き気のするような甘い言葉もその口はいくらでも奏でるくせに、リュミエールには一切自発的に言わない恋人。 リュミエールが仕掛ける行為を拒みはしないものの、実際オスカーの本心がもう良くわからないと言うのが事実なのも、 彼はわかっているのだろうか。 どうしてこんなにも不安になるのか、リュミエール自身にも理由は最早わからない。 唯一変わらないのは、この渦巻くような気持ちが未だに、コントロール出来ない事だけなのだ。 何も言わず微動だにしないリュミエールの方へ、オスカーがゆっくりと近付いてくる。 最初は小さかった影はオスカーが近付くにつれて、リュミエールに落とす面積が大きくなってくる。 伏せたままの視線の先に、オスカーの爪先があった。 だが、彼はそれ以上近付く気も、動く気配すら見せない。 顔を上げればすぐそこに、愛しい顔が見られるのに。 腕を差し伸べれば、その身体を自分の胸の中に抱き締められるのに。 その心までは自分のものに出来ないもどかしさに、胸が締め付けられるような感覚に取り込まれる。 そして。 リュミエールは一分たりとも身動ぎ出来なかった。 *** 「…リュミエール?」 「………」 頭上から降る声音はあくまでも優しいものだった。 いつもの彼の響きにリュミエールはホッとする反面、同時に何故か僅かに落胆もしていた。 「…なんて顔をしてるんだ、お前は?」 「…え?」 「そんな顔してると、俺がお前を襲いたくなってしまうだろ?」 「…!!」 オスカーの指がリュミエールの顎のラインをすっと撫でた感触に、僅かに身体を震わせる。 自分がどんな表情をしているのか、それがオスカーに何を思わせたのか。 そんなにあからさまな顔でコイツを見ていたのか、俺は…。 自嘲気味な笑みを口元に浮かべ、リュミエールはオスカーに触れられたその指を掴むと、そこにそっと口付けを落とす。 「…あなたがそんな事を思うなんて、珍しい事もあるものですね…?」 「別に珍しくもないだろう?」 「え…?」 「俺はどうにかしてお前を組み伏せようか、いつも考えているんだぜ?」 「………」 何を言ってるんだ、コイツ…。 リュミエールは思わず呆れた色の溜め息を吐いた。 諦めたと思っていたのに、なかなかしつこい男だ。 「ま、惚れた弱み、だな」 「…はい?」 油断、した。 そう思った時にはもう、オスカーにベッドの上に押し倒されていたのだ。 「…オスカー?」 「…何だよ?」 オスカーに組み伏されたままのリュミエールが、視線を逸らす事無く見据えながら問うた。 「まさか、あなた…」 「ん?」 「この期に及んで、まだ諦めてないのですか?」 「…お前は、どう思うんだ?」 「…は?」 「俺がお前とこうしているのは、何故かって事がお前にはわかってないだろう?」 「っ…!」 指を絡ませるように握られ、ふっと微笑を浮かべたオスカーに反論する隙も与えられぬまま、口付けられる。 何度も啄ばむみたいに合わせては離れ、それを追いかけるように互いの唇を求める。 もっと深く、長くと、蕩ける口付けをとリュミエールの気が急く程、オスカーがそれを楽しむように焦らしている。 痺れを切らしたリュミエールがオスカーを身体ごと反転させ、形勢逆転になった途端に深く口付ける。 息を吐く暇も無い位のリュミエールの激しさに、オスカーの方が先に根をあげることになる。 「…っ、お前激し過ぎ…」 「だらしねえな、オスカー…。まだまだこれからだろ?」 「…望む所だぜ」 ニヤリ、と妖しい笑みを零すと、オスカーは身を起こし再びリュミエールの身体を組み伏せる。 「なっ…、おい、オスカー?!」 「…いつもヤられっぱなしってのは、俺の性に合わないからな」 「…どういう意味だ?」 「ま、俺の好きにさせて貰うぜ?」 「………」 射る様なリュミエールの視線をものともせず、オスカーは熱を持ち始めていたリュミエールの自身を緩く扱くと、 何の躊躇いも無くそれを咥えた。 「んっ…!!」 みるみるうちにそれは形を変え、オスカーの這わせた舌に感じる節くれ立った血管からは、力強い脈動が打たれる。 オスカーが与える口淫は激しさを増すと唾液の絡む音が寝室内に響き、リュミエールからも切ない吐息が漏れ出す。 余す所無く愛撫されたリュミエールの自身は、オスカーの唾液で濡れ月の光で怪しい輝きを放っている。 ちゅっと先端から音を立て唇を離すと、オスカーが感嘆の声を漏らす。 「…何時見ても、デカイな…」 「…お前のせいだろ」 「毎回俺も良くこんなモノ、受け容れてるよな…」 「っ…!!」 オスカーの聞き捨てならない発言に、リュミエールが反射的に身体を起こそうとした瞬間。 リュミエールに馬乗りの体勢になったオスカーに阻まれ、荒々しく口付けられる。 一頻り思う様口内を蹂躙すると、唇を離したオスカーがリュミエールの耳元で囁いた。 「…お前の感じてる顔、マジでクるんだよな」 「…?!」 その言葉の意味を問い質そうとした時。 リュミエールの自身をそっと掴まれ、その先端に何かを押し当てるような感触に驚く。 「…オスカー?」 「お前、俺に突っ込む時の色っぽい顔、自覚無いだろ?」 「なっ…?!」 「俺もお前のその顔だけで、イきそうになるんだぜ…?」 「…っ!!」 最後の言葉を息と共に吐き出した瞬間、オスカーは体重を乗せて一気にリュミエールを体内に飲み込んだ。 いきなり訪れたその感触と快感に、リュミエールも小さな呻きを漏らす。 オスカーの体内の熱さに、いつも意識を飛ばしそうになる。 暫し前に自分が放った精のおかげで、オスカーのそこは潤いを保っており、リュミエールを難無く咥え込んでいる。 ひくつく蕾の動きに合わせ、オスカーの吐息も甘く変化するその瞬間が何よりもリュミエールの興奮を煽る。 「く…っ、やっぱキツイ、な…。さっきよりデカイんじゃないのか…?」 「っ…、俺は締まりが良くて、最高だけどな…?」 ほら、と下から突き上げるリュミエールの動きに、オスカーの呻きが漏れる。 「どうした…オスカー? 珍しくお前から誘ったと思ったら、もう降参か?」 「…そんな訳…あるか…」 激しく腰を下から打ち付けられ、オスカーの腰も艶かしく揺らいでいる。 自分からいい場所に当たるように無意識に動かしているのだろう。 リュミエールのリズムに合わせ、オスカーの声が鼻から甘い色を帯びて漏れ聴こえる。 「…っ、その…瞳、だ…」 「…?」 声にならない吐息のみの喘ぎの最中(さなか)に、オスカーが切なげに溜め息のような言葉を発した。 その意味がよく理解出来なかったリュミエールは、上に跨るオスカーへの攻めを一時中断させた。 「ん…っ」 「どういう意味だ、今のは?」 物足りなさ気に揺れるオスカーの腰を掴み、リュミエールは繋がったまま身体を起こした。 その動作の間、お互いずっと視線を外す事無く見詰め合っていた。 目の縁を紅く染めたオスカーのそこには、うっすらと欲情の色が表れている。 対面座位の形で見詰め合ったリュミエールが、オスカーに答えを促すように胸の突起を口に含んだ。 その瞬間、オスカーの身体はびくりと震え、リュミエールを根元まで呑み込んだその蕾がきゅっと絞るような動きをする。 「くっ…」 「ほら、答えろ」 突起を口に含んだまま、リュミエールがオスカーの顔を下から覗き見ると、オスカーの視線とかち合った。 「…だか…ら、それだ…」 「…は?」 焦れったさからくるものなのか。 オスカーの声音は切なさの色の度合いが増し、自らリュミエールを誘うようなその目つきにも淫靡さが滲み出している。 「お前の…その瞳のせいで…」 「…何だよ」 要領を得ないオスカーの言葉に、少し苛つきながらその先を促す。 それでもリュミエールはオスカーの身体を愛撫する手を休める事無く、彼の感じるポイントを的確に弄(まさぐ)る。 「お前の、俺に…欲情する瞳を見るだけで…」 少し上から見つめるオスカーの視線が絡まる。 僅かに身を戦慄かせ、息を詰めたような苦しげなオスカーの右手が、リュミエールの頬をそっと包んだ瞬間。 「っ…!!」 リュミエールは恋人のその言葉の先を聞く事も、促す事も出来なかった。 「んっ…、んふ…っ」 そう言いながらリュミエール以上に欲情しているオスカーに、リュミエールが荒々しく口付けたからだ。 息継ぎの間に合わさる、甘いお互いの吐息。 貪るように、総てを喰らい尽くすかのように、それは激しさを増す。 我慢出来なくなったのだろうオスカーの腰が、再び悩ましげに揺れ始めるのを悟ったリュミエールは、 先程よりも確実に質量を増した自身を律動を再開させた。 「くっ…は、あ…っ」 「…珍しいな、オスカー。お前がそんな事を言うとは…」 自分の上で揺さぶられ艶かしく喘ぐ恋人の、滅多に聞けない言葉にリュミエールも煽られているのを自覚していた。 普段ならオスカーからリュミエールを誘う事も、行為に対するオスカーの気持ちを聞く事も無いのだ。 何故今夜はこんな事になったのか。 リュミエールにも理由はわからない。 「も…、もう…」 「ああ…、わかっている」 オスカーの昂ぶりがはちきれそうな位膨らみ、蕾がきゅっと締め付けを繰り返し始める。 絶頂が近い事を告げる反応に、リュミエールもその動きを更に激しくさせる。 最奥を目指し、突き上げる度にオスカーから苦しげで、そして堪え切れなかった声が引っ切り無し発せられる。 「…オスカー?」 ぎゅっとリュミエールの首にしがみ付いていたオスカーに、攻める腰を休める事無く尋ねた。 その声に反応したオスカーがゆっくりと身体を離し、リュミエールの顔を見遣る。 理性を手放してしまった恋人のその視線は、それだけで達してしまいそうになる程、自分の箍(たが)を外すもので。 半開きになった口元からは、甘い吐息がリュミエールの鼻を擽る。 堪らなくなったリュミエールがオスカーに口付けようと、その頬に掌を当てた時。 オスカーの方が僅かに早く、その唇を貪るように合わせてきたのだ。 一瞬目を見張るリュミエールも、即座にその口付けに応える。 お互い切羽詰った状況で、それに倣うかのように激しさを増す。 淫らな水音が部屋の中に響き渡り、それが結合部からなのか口付けのせいなのか、最早判別つかない。 ふと唇が離れた時、蕩けるような、そしてやや視線の定まらなくなったオスカーが、か細く呟いた。 「…愛してる、リュミエール…」 「っ…!!」 それがリュミエールの引き金を引くきっかけになり。 オスカーを後ろに押し倒し、激しく肉がぶつかる音を立てながら、一気に攻め立てる。 先程とは比べ物にならない位の律動に、オスカーも喘ぎを押さえる事が出来ない。 知り尽くしたオスカーの中の、一番弱い箇所を執拗に攻められ、彼自身がピクリと震えた。 「あっ…、んっ……ああっ…!!」 「…くっ!!」 その瞬間は呆気なく訪れた。 リュミエールはオスカーの体内に。 オスカーは自分の腹に欲望を吐き出した。 射精の余韻が残る中、リュミエールはオスカーから出て行く事無く、彼に優しく口付ける。 彼の瞳と同じ、紅い紅蓮の炎のような髪に指を絡ませ、慈しむような口付けを繰り返す。 オスカーもそれに応え、リュミエールの首に両腕を回し、彼を引き寄せた…。 * 「…お前、今日はどうしたんだよ? まるで人が変わったみたいだったな…」 やっと一息吐いて、リュミエールがオスカーに尋ねる。 力尽きたようにベッドにうつ伏せたまま、オスカーは身動ぎしない。 オスカーの傍らにベッドのヘッドボードに背を預けて座るリュミエールは、不意に髪を靡かせて行く風に気を取られた。 リュミエールはベランダの窓が開けっ放しなのに気付き、ベッドから降りて窓を閉めに行った。 窓を閉める音にオスカーが振り向くと、リュミエールの身体が月明かりに浮かび上がるのが見える。 その儚く映る容姿に、オスカーははっと息を呑んだ。 「…オスカー?」 「………」 先程の逆、オスカーはリュミエールの表情を読み取る事が出来ない。 リュミエールの窺う声音に、オスカーがふっと溜め息を吐いた。 「何だ、あれでもうお手上げか? お前ってやっぱり自分で言う程、体力ねえのな」 「…そうじゃない」 低く、硬い響きの声で答えるオスカーに、リュミエールの眉間にきゅっと皺が寄った。 「…どういう意味だよ、そりゃ」 大股でベッドまで戻り、乱暴にマットレスを揺らして腰掛ける。 その衝撃でオスカーの身体が跳ねる。 「…お前こそ、今日はおかしかっただろう?」 「…は? 俺がか? 何を言ってんだ、オスカー」 きょとんと目を丸くしてリュミエールが言う様子に、オスカーが苦虫を噛み潰したような表情をした。 「お前さ、俺がお前の事どう思ってるか、気にしてるだろう?」 「!!」 リュミエールが息を呑む音がした。 何故それを、としか言いようの無い表情でオスカーを凝視しているリュミエール。 いつも腹で何を考えているか全く悟らせないこの男が、ここまで驚愕するのは図星だからに相違ないのは確かだ。 やっぱりな、とオスカーの呟きが聞こえ、リュミエールも意識を取り戻す。 「俺もさ、お前相手だと調子が狂うんだよな。女性相手なら難無く言える事や出来る事も、お前には抵抗があるって言うか…」 「………」 オスカーはリュミエールの方へ身体の向きを変え、頬杖を着くように頭を手で支える形で視線を合わせる。 「いつまでも慣れない自分に、俺自身も戸惑ってるんだよな。だが…」 「…何だよ」 リュミエールが苛ついた声で促す。 今はそれ以上は何も言わないが、きっと頭の中はオスカーを罵倒する用意は準備万端なのだろう。 オスカーは言葉を選びながら、慎重に口を開いた。 「でも、お前がさっき眠っている時な…。俺の名を呼んだんだよ」 「…俺が、か?」 「ああ。何度も、な。俺が隣に居るのに、探すような、心細そうな、そんな声だった」 「…アホらしい。お前の妄想だろ、それは」 肩を竦め、まともに取り合わないリュミエールを他所に、オスカーは続ける。 「極めつけは、お前が目覚めた時だ。お前も覚えてるだろう?」 「っ…!!」 確かに、あの寝起きの状況ではリュミエールの表情も、普段のように隠し切る事は不可能だったかもしれない。 現に、あからさまにもの欲しそうな顔で、オスカーを煽った結果になったのだから。 「…俺もな、お前に対する言葉が足りないのは判ってたんだ。でもお前が本心では、俺に不審感や不安を感じていたのも、実は気付いてた」 「な…?!」 オスカーの続く告白に、リュミエールも怒りの前に驚きが先に来た。 「でもな。一度言いそびれると、俺でもやはり言い辛くて、な。それに言ったろう。お前相手だと、俺は俺でなくなるみたいなんだ」 「…どういう開き直りの言い草だ、それは」 「や、ま、待て、リュミエール!!」 リュミエールの声音に怒りが大分混じってきたのを、オスカーが必死にそして慌てて制する。 「いいか、リュミエール」 「何だ、馬鹿オスカー」 「…酷いな、お前」 「どっちがだ、このアホ!!」 鼻息を荒くしたリュミエールに、オスカーが情けない表情で怯む。 「で、何だよ、一体」 「…俺はお前も、お前とのセックスも、好きなんだぜ?」 「…はあ?!」 リュミエールがぎょっとしたように、オスカーの顔をじっと見据えている。 ヤり過ぎて、おかしくなったか、オスカー…。 「お前な、声に出てるぜ…」 「…え?」 あまりにも驚いたせいか、リュミエールは思わず口にしてしまったようだ。 これまた情けなさを演出するオスカーの下がり眉に、リュミエールがふっと笑みを零す。 柔らかい笑みを浮かべたリュミエールの唇が、オスカーに何かを呟いているように映った。 オスカーは徐に身体を起こし、リュミエールの頬に手を添え、口付けを落とす。 ゆっくりと開いてオスカーの舌を迎え入れたリュミエールの口内は、蕩けるように甘く淫靡で冷めかけていたオスカーの欲望を呼び起こす。 未だ一糸纏わぬ産まれたままの姿で口付けを交わした後。 オスカーは離れ難いと言うようにリュミエールの鼻の頭に自分のそれを擦りつけ、瞳を見つめながら甘く囁いた。 「…愛している、リュミエール。俺はお前のものだ」 「…遅いんだよ、馬鹿」 リュミエールはオスカーの上唇を甘噛みすると、再び唇を重ね合わせてきた。 幾度交わしても色褪せる事無い甘美な快楽に、また二人は堕ちて行く事になった…。 あとがき: んぎゃ〜〜〜!!!! な、何じゃい、コラ?! …AYA様、大っっっ変にお待たせして、誠に申し訳ありませんでしたm(_ _)m つか、何なんですかね、この話…(滝汗)。 先日独り言に書いたと思いますが、コレはリクのプロローグといいますか、この後にやっとリク本編が始まるのです(汗)。 本当はその本編も一緒にアップするのが筋かと思いますが、中々遅筆の豆田には難しく自分で年内アップと宣言してしまったので、 先にこちらを…という形になりました。 しかし、しかしですよ…。 んも〜、エロになる予定なんかなかったんですけどねえ(苦笑)。 誘い受けのオスカー、そして騎乗位で腰を振るオスカー…(笑)。 豆田、自分で書きながらも途中で耐えられなくなりまして(苦笑)。 何度挫けそうになったか知れません。 全くこんなアホな話で申し訳ありませんm(_ _)m 当然返品可でございます(汗)。 …少しでもお楽しみ頂ければ幸いでございます…。 ではではAYA様、ありがとうございましたm(_ _)m。 06/12/31 ☆back☆//☆小説部屋トップへ☆//☆トップページへ☆