「こんにちは、リュミエールさま!!」 「おや、マルセル。いらっしゃい。 今日はどうしたのですか? 何だかとても嬉しそうですね…?」 「はい!! あの、これ…この前お話した花が咲いたので、リュミエール様に差し上げようと思って…」 「え…いいのですか? この花は、あなたも咲くのをとても楽しみにしていたのでしょう?」 「いえ、いいんです。まだ蕾をたくさんつけた鉢があるんです。 それに、リュミエール様なら、このコを大事にして下さるから…」 「…ありがとうございます、マルセル。では、大切にお世話をしますね? ああ、わたくしとしたことが…こんな所ですみません。 さあ、奥へどうぞ。あなたのために今朝摘んで来たばかりのハーブで、お茶を淹れましょうね」 「わあ…!! ありがとうございます!!」 ***** 「…って、リュミエール様がお土産にってハーブティーを持たせて下さったから、レオナードにも…ハイ。お裾分け」 「………」 「…どうしたの? あまり、好きじゃなかった? …レオナードには、お酒の方が良かった?」 「…お前な、あんまりリュミエールに近付くな…」 「…へ?!」 「………」 「…それ、ヤキモチ?」 「チガウっての!!」 「…?? じゃ、どうして?」 「………」 「??? 何か、今日のレオナード、ヘンだよ…」 理由を言いよどむレオナードを横目に、マルセルは貰ってきたハーブティーを2人分淹れ、テーブルの上に置いた。 「はい…。リュミエール様程上手には淹れられないけど、本当に美味しいから。ね…、飲んでみてよ?」 マルセルは小首を傾げ、レオナードを下から覗き込むようにして窺う。 「…あのな、別に俺はソレが嫌いな訳じゃねェんだよ…」 頭をガシガシと掻きながらレオナードは苦々しげに言った。 「じゃ、なに? 言ってくれなきゃ、僕…わかんないよ…」 マルセルもレオナードが何を考えているのか皆目見当がつかない。 何故、いきなり不機嫌になってしまったのか。 マルセルの声は知らずのうちに、泣きそうな気配を見せていた。 「僕…こんな思いする為にここに来たんじゃないのに…。 ねえ、レオナード…何で怒ってるの? 僕が…悪いの…?」 もう既にマルセルの瞳は涙で潤み始めている。 「ああ、…お前のせいじゃねェよ…っつか、あれ? お前のせいでもあンのか…?」 レオナードは慌ててマルセルを宥めようとしたのだが、自分の不機嫌の理由はマルセルにも関係あるので…。 仕舞いには混乱しておかしな事を口走る。 「…やっぱり、僕の…せい、なの…」 とうとうマルセルの瞳に留めておけなくなった涙が、ぽろ、と零れ落ちる。 「イヤ…っ、あ…?! チッ、また…」 泣かせちまったか、とレオナードは溜め息と共に呟くと、マルセルを抱き上げ自分の膝の上に座らせる。 自分の肩口へとマルセルの頭を優しく撫でながら抱き寄せる。 怒っているのではないのだと、マルセルはレオナードの手から感じ取るが、依然何が何だか判らないままだ。 「…レオナード、僕の事…嫌いになっちゃったの…?」 蚊の鳴くようなか細い声で問うマルセルに、再び溜め息を吐くレオナード。 「…そうじゃねェって」 「じゃ…なんで教えてくれないの?」 「…言っても、お前…信じねェだろうが…」 「言ってくれなきゃ、わからないよ…そんなの」 一体、何をそんなに躊躇うのか。 リュミエールと仲良くするのが、何故悪いのか…。 「…アイツな」 「え…、リュミエール様の事?」 「ああ…、そのリュミエール様な、ありゃ…2重人格だぞ」 「………へっ?!」 レオナードの突拍子もない言葉に、マルセルは唖然とする。 言うに事欠いてリュミエールが2重人格とは、マルセルでなくとも驚くだろう。 「レ…レオナード、な…に…」 「イイから聞けって…。まあ、2重人格ってェのはちっと適当じゃねェな…。 アレだ、猫被ってるっつーのがピッタリかもな…。アイツの本性は…とんでもねェ腹黒野郎だ…」 「………!!」 マルセルはもう開いた口が塞がらない。 「…レオナード、頭打ったんでしょ?」 「…あのなァ、何言ってんだよ?! マジだっての!! だが、恐らくお前の宇宙でも気付いてんのは…殆どいねェだろうがな…」 「でも…もし、それが本当だったとしても、何でレオナードがそんな事知ってるの?」 「俺は今までいろんなヤツを見てきたからな。裏から表まで、それこそ下から上まで…な。 だから、そういう人間は臭いでわかるんだよ。アイツからは何て言うか…初めて見た時から、ヤベぇ位だったぜ?」 「…まさか…?!」 マルセルは到底信じられない、とばかりに目を見張る。 レオナーから視線を外せないだけじゃなく、体も硬直してしまっている。 「俺の勘は外れたことがねェんだよ、残念ながら。 それに…アイツ、絶対攻めだぜ?!」 「へ…?! な…に??」 「…だから、お前と2人きりでいたら、アイツに喰われちまう危険があるって言ってンだよ!!」 レオナードはついキツイ口調で言うが、その頬はほんの僅かだが、赤い。 「…レオナード、それ…やっぱり。ヤキモチじゃない…」 「っ…!!」 なんだかんだ言っても、結局はそういう事だったのをマルセルに指摘されて、レオナードも言葉に詰まってしまう。 マルセルは嬉しそうににっこりと微笑むと、レオナードに抱きつきキスをした。 「っ…?!」 驚いてレオナードが口を開けた隙を衝いてマルセルが舌を差し入れると、レオナードもマルセルの後頭部を抱き込み、 その濃厚なキスに応える。 「ん…ふ…ぅん…っ」 何度も角度を変え、マルセルの口内を堪能しながらレオナードの手は、彼の服を器用に脱がせてゆく。 「え…? レ、レオナード? …何で、脱がすの?」 マルセルは唇を無理に離すと、恥ずかしそうに尋ねる。 「何でって…お前が誘ったんだろが…」 呆れながらもその手はあらぬ間に上半身を剥いてしまい、今度はベルトに伸びる。 「あっ、ま…待って、よ…?」 「…待てねェのは、お前もだろ?気付いてねェなんて言わせないぜ? ココ…こんなにしてるクセに」 …そう、マルセルのそこは自分から仕掛けたキスに依って感じてしまい、服の下できつそうに主張していたのだ。 「だ…だって、レオナードが…」 「俺が、何?」 「僕に…ヤキモチ妬いて、すごく嬉しかったから…」 「っ!!」 「レオナードに…愛されてるんだなぁって…思って、ね」 「…言ってろよ」 「ん…、僕も、愛してるよ?」 「当然だってェの…」 レオナードは自分の赤い顔を見られまいとして、マルセルにやや強引にキスをした。 しかし、それは手遅れであった事は、ココだけの話…。 あとがき: ハイ、エロ割愛!!(笑) 長いの、もうヤだったので…。 たまには、そういうのも……って、まあ結局はこの後しっかりヤってますけどね〜。 守護聖様も、愛しい人相手には嫉妬もすれば、メロメロにもなるし、それでエッチにも熱が入ってしまったりと(笑)。 ただの、恋するひとになってしまうのです…と、いうお話でした。 ☆back☆/☆小説部屋トップへ☆/☆トップページへ☆