「ゼフェル、俺も何か手伝おうか?」 「…いーよ、そんな手間かかんねーし。大人しく向こうで待ってろよ?」 ある休日。 ここ、鋼の館でゼフェルが自ら昼食を作っている。 ランディは所在無さ気にキッチンの中をウロウロしている。 「でも…、何だか落ち着かないんだよな…」 「…何がだよ?」 「緊張してんのか、な…?」 「はあ?! …何言ってんだよ」 しょうがねーヤツ、と呟きながらゼフェルは目の前にある野菜を鍋に入れ、炒め始めた。 「…ゼフェル、いつも自分で作ってるのかい?」 「あ? いつもじゃねーけど…。ま。気が向いた時だけだよ。後は…」 「え?」 「行き詰った時に、気分転換にやることの方が多いかもな…」 鍋の中からは、飴色になった玉葱の香りが漂ってきている。 「…こんなもんか」 ゼフェルは次の工程に移ろうとして、ランディのいる方へ振り向いた。 すると、いきなりがしっと両肩を真剣な顔をしているランディに掴まれた。 「っ…?! な…、何だ?!」 「ゼフェル…俺との事、そんな風に思ってたのかい…?!」 「…はあ?!」 「もう…俺とは、付き合っていけないって思ってるんだろ?!」 「…な…何で?!」 「!! …何でって、俺が聞いてるんだよ!!」 「や、つか…俺も聞いてんだけど…」 「俺が先に聞いてるんだよ!!」 「………」 ランディのあまりの剣幕に、ゼフェルは呆然としてしまい言葉を失った。 「…いいよ、答えたくないんなら…ゼフェルの体に直接聞くから…!!」 「オ…オイっっ?!」 そう言うとランディは有無を言わさず、ゼフェルの唇を奪った。 「!! ……ん〜〜〜っ!! んん…っっ」 苦しそうにもがくゼフェルの舌を執拗に絡め、全てを喰い尽さんばかりの勢いで何度も角度を変えながら貪っている。 ぷはっと音を立て、唇を離すとゼフェルは息も絶え絶えになりながらも抵抗する。 「お…めー!! いきなりこんなトコで…何てコトしやがる!! 鍋、焦げちまうじゃねーか!!」 「…火、消せばいいじゃないか」 ランディはしれっとした態度でほら、とゼフェル越しに手を伸ばしコンロの火を止め、再びぜフェルの顎を固定させ口付ける。 「〜〜〜〜?!」 ランディらしからぬ行動に、ゼフェルも流石に面食らっている。 いつもはこんな強引に行為を要求したりしないのに。 必ず、自分を気遣ってくれていたのに…何故、こんなに性急になっているのだろうか…。 …俺、何か変なコト言っちまったのか…? 何だってんだよ…?? ランディのその、余裕の無さを感じさせるキスにゼフェルは不安を隠しきれずにいた。 無理矢理ランディの胸を押し退け、キッと睨むとゼフェルは再び鍋に向き直る。 「…ったく、何なんだよ…一体。早いトコ作っちまわねーと…」 と、ブチブチ文句をたれている途中にも、後ろから抱き付かれ項を軽く噛まれた。 「ぅ…わっっ?!」 ゼフェルは驚いて手に取った木製のヘラを床に落としてしまった。 「て…っめー…!!」 真っ赤になって怒りを露にするゼフェルを余所に、ランディの唇は項から耳朶に移動して来た。 聞いてるだけで体の芯が熱くなってしまうような、粘着質な水音を立ててそこを嬲られる。 「ん…っ…や、やめ…ろ…って…!!」 ランディはゼフェルの抵抗に耳を貸さず、だんだん脱力してゆく体を撫で回すと同時に、器用に彼の服を脱がせてゆく。 不意に外気に晒された胸元がぞくりと粟立つのを感じた瞬間、ランディの熱を帯びた掌に弄られる。 「あ…っ?!」 「…もう、勃ってるよ? ココ…」 意地の悪い笑みを含んだ口調で囁かれ、胸の突起を両手できゅっと摘まれる。 「や…!! よせ…って…」 「そんな事言って…本当、ゼフェルって感じやすいよな…? ちょっと触っただけで、すぐこんなになっちゃうんだ…」 突起を弄っていた片方の手を、ゼフェルの股間に手を伸ばす。 服の下から主張し始めているソレを、そっと形を確かめるかのように掌で包み込みながら、指でなぞってゆく。 「あ…あ…っ!!」 その間にもみるみるゼフェル自身は硬さを増し、服の上からのじれったい刺激に思わず身を捩じらせる。 「ん…っは…あ…」 「…どうして欲しいか、言って…?」 普段のランディからは想像出来ない程、色気を含んだ、やや掠れた声で問われるとゼフェルの全身に 言いようの無い痺れが駆け巡る。 「…っ、ぜってー…言わねー…ぞ…」 ゼフェルもランディの思う通りにはさせまいと、必死に抵抗を続けるが既に先走りの蜜が溢れ出し、 服の上からでもその湿りを確認できる程に昂ぶってしまっているのだ。 「また…そんなに意地張って…。ねえ、言って…? 俺を…もっと欲しがって…」 相変わらずの声で耳元で囁かれ、ゼフェルももう何が何だか判らなくなってしまっていた。 ゼフェルが何も答えずにいると、ランディはお構い無しに彼のボトムのファスナーを下ろし、下着の中に手を突っ込んだ。 直に触れる双丘を掴みながら、その割れ目を指でなぞり始める。 「…っ!? あ…、ラ…ンディ…!!」 ゼフェルはビクリと体を強張らせ、きゅっとそこに力を入れてその進入を阻もうとする。 「…力、抜いて?それとも…痛いほうがいいのかい?」 「な…っ?! なんつーコトを……!!」 「だって…そんなに締めたら指どころか、俺のも入んないよ?」 「いっ…入れないでいいっつーの!!」 「嘘吐き…ココでやめたら、ゼフェル…どうするんだい、コレ…?」 と、下着を下げられ再び自身を握られる。 「だ…っ、だから…さ…わんな…って!!」 直に触れられて、急激に訪れる快感に思わず入れていた力が抜けてしまった。 その隙を突いて、ランディの指がゼフェルの蕾に押し入る。 「ん…っ!! …ふ……ああっ!!」 探るまでも無く、ゼフェルの弱いところを見付けるとランディの指がそこだけを擦り上げてくる。 「は…あっ…、ランディ…やめろ…って…」 「いつまでそんな強情言ってられるかな…? もう…ゼフェルのココ、俺の指に食いついて離してくれないんだよ…?」 「!! う…そだ…!!」 「嘘なもんか。ほら、引き抜こうとすると…きゅうきゅう締め付けて…わかるだろ?」 「バ…カヤロー!!」 ゼフェルはシンクの縁を掴み、上手く力が入らない体を漸く支えている状態だ。 「ゼフェル…もっと、こっちに」 ランディがゼフェルの腰を掴み、自分の方へ促す。 最早抵抗する力も抜け切ってしまったゼフェルの体は、ランディの為すがままに腰を突き出すような格好となる。 ランディから丸見えとなった蠢く蕾が、まるで自分を誘っているかの様で堪らなくなる。 「う…わ、マジで…ヤバイ眺め…。俺、もう…我慢できない…。ゼフェル、入れるよ…?」 ランディは急いで自分のベルトを外すと、下着ごとボトムを下ろした。 露になったはちきれんばかりの自身を取り出すと、ゼフェルの蕾に切っ先を宛がう。 お互いの蜜で音をさせながらも、なるべく痛みを与えないように注意しながら腰をゆっくりと進めてゆく。 「は……っ、ああ…っ!! ラ…ランディ…っ」 ゼフェルの入り口はまだきつさを残すものの、最初に比べれば大分柔らかくなってきていた。 こんな体位でヤるのは初めてだが、ゼフェルも感じているようでランディを締め付けてくる。 抽挿を繰り返す動きに合わせ、ゼフェルから甘くも切ない声が漏れ聴こえ、更にランディを煽る。 「あ…あっ…は…っん…んっふ…」 「ん…ココ、いいの…?」 「や…ちが…っ、あああっ…!!」 「く…っ、すご…ゼフェルの中…気持ちいい…」 激しく肌のぶつかり合う音、吐息と蜜の混じり合う音だけがやけに耳につく。 「んっ…はぁっ…く…んあ…っ…」 さっきまで強気なセリフを吐いていたゼフェルも、ランディの与える快感にはもう抗えなかった。 「…俺の、そんなに…美味しい? 根元まで銜え込んじゃって…マジ、ヤラしすぎ」 「っ!! バ…カ…ああっ…!!」 極限まで引き抜き、再び最奥まで打ち込んでやると背を仰け反らせ、一際高い嬌声を上げる。 「ね…、イイって…言って? 俺が…もっと、欲しいって…言ってくれよ?」 ランディはゼフェルを抱き締めるように胸に手を回し、放って置かれていた突起を弄ってやる。 「ひ…っ?! あ…ソコ、や…めろ…って…」 「ココも、好きだろ? ゼフェルはココ弄ると、すごい締め付けてくるんだよね。ほら、今も…さ?」 「や…ああっ…い、言う…な…」 「何で? ゼフェルのココ、俺のがイイって言ってる…証拠だろ?」 「!! はっ…そん…っな…ハズかしーコト…っ」 「上の口は素直じゃないけど…下のお口は正直だよな?」 「あああっダ…メ、だっ…も…う」 「う…俺も…ゼフェル、一緒に…イこう、か?」 「ん…っは…あっ、も…はや、く…っ」 「う、わ…すご…っ」 「あ…んは…っ………あああっっ!!」 「く…っ!!」 ほぼ同時に達した二人は、暫しの間荒い呼吸をさせながら身動き出来ずにいた。 やがて、ランディが自身をゼフェルから抜くと、中に放ったモノを指で掻き出してやる。 「っ…!! いいって!! 自分で…やるから!!」 「そんな事言ったって、ゼフェル…もう動けないんだろ?」 「!!」 ゼフェルはシンクにぐったりと預けていた体を急に起こすと、さっさと自分の服を着直してゆく。 「ゼ…ゼフェル?」 無言でランディと視線を合わす事無く黙々とそれは行われ、ランディも慌てて自分の服を直す。 先に終えたぜフェルはシンクに寄り掛かり、腕を組んでそれを眺めている。 「あ…あの…、ゼフェル?」 恐らく…というより、絶対自分の強引な行為に怒りまくっているであろうゼフェルの表情に、ランディもマズイと思ったのか。 おずおずと近付いてくる。 「…どーゆーつもりだよ?!」 「………」 「あ…っんな、無理矢理…しかも、恥ずかしーコトばっか言いやがって…!!」 「…ごめん。おれ…」 ゼフェルはランディの頬に一発、平手打ちをくれてやる。 「い……って…ー」 「…当たり前だろ?!それだけで勘弁してやるんだから、感謝しろっての!!」 「……はい…」 「…ったくよー、俺だって男なんだぞ?! 本気で抵抗すりゃ、おめーだってわかんだろ?!」 「……うん」 「…誰が好き好んで嫌いなヤツと…それも、男とこんなコトすると思ってんだよ…」 「…ゼ…フェル?」 「俺はただ…おめーにも食わせてやろーと思っただけだよ…」 「…それじゃ…?」 「…何を勘違いしたのか知らねーけどよ…。俺は… おめ−の事…好きだからよ…」 「!! …ゼフェル!!」 ガバっとランディに抱き付かれ、よろめくゼフェル。 「う…わっっ?!」 「よ…かった〜!!」 「…何だよ」 「さっきの…さ、俺との事…、行き詰ってるって言われたのかと思ったんだよ…」 「…何だ、そりゃ」 「…で、居ても立ってもいられなくなっちゃったんだ…」 「…バカだなー、ありゃ、俺の改造やらのコトだって…」 「そっか…。うん…、でも…不安になるだろ? いつまでこうしていられるのかって…考えたりすると、さ?」 「今からそんなコト考えてもどーしよーもねーだろ? 俺は…おめーとずっと一緒にいてーって思ってるから、心配すんなって…」 「う…!!」 「…?? どうした?」 「…ごめん。もっかい、イイ?」 「!!」 「ゼフェルがそんな可愛い事言ってくれるなんて…俺…もう…ダメ…」 「か…可愛いって言うな…!!」 「だって、本当だし」 「!!」 「ね…、いい?」 「き…、聞くな…」 「また、殴られたくないしなぁ…」 「あ…!! れ…は、おめーがいつもと…違うから…」 「ん? 何?」 「や、なんでもねー…」 「で? いいの?」 「っ…、ここじゃ…もうヤだかんな…」 「わかった、じゃあ…あっち、行こう?」 「………」 2人はゼフェルの寝室へと向かったのであった。 その手は、しっかりと繋がれたまま…。 あとがき: 狼さまの風鋼質問を読んで、いきなり台所でエッチする2人の妄想が舞い降りて来まして(笑)。 普通に出来る相手ではないので、ちょっとランディに勘違いで突っ走って貰いましたが…如何でしたでしょうか? 因みに、ゼフェルが作ろうとしていたのは…ご想像通り、カレーでございました☆ 豆田はあまり料理をしない上、全部書くのは面倒だった為に、カレーは完成させませんでした…。 っていうか、ゼフェルのカレーって、ものすごく辛そうですよね…。ランディ、完食出来るんでしょうかね〜(笑)。 話はエロですが、せめて背景は爽やかにしてみました(笑)。 06/11/17加筆修正。 ☆back☆☆小説部屋トップへ☆/☆トップページへ☆